9月9日 子どもたちへのメッセージ(第三十七回)の収録を終えて

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今週のテーマは「子どもと仕事」についてです。野球選手、サッカー選手、食べ物屋さんなど多くの職業に子どもたちは憧れ、その夢にむけて頑張って大人になっていきます。しかし、今の子ども達の職業に対する意識は変わってきています。就職氷河期と呼ばれている今だからこそ、夢をもつことの意味を、大切さを子どもたちには持ち続けてほしいと思います。

■子どもの頃の夢
皆様、こんにちは。参議院議員の浜田まさよしです。皆さんは子どものころ何になりたかったでしょうか。私は大工に憧れていました。子どものころ、大阪の住工混在地域に住んでいて、私の家の隣が大工の作業場でした。のこぎりを引く音、かんなをかける姿、一日中見ていても飽きず、その影響で大学は建築学科に進みました。

そして勉強していく内に、家を作ることから制度を作ることに関心が移り、であればと公務員、いわゆる官僚の道に進もうと思いました。その内、日本の官庁というのは縦割りが酷くて、省庁間で中々意見が合わないという実態を体験しました。この縦割りをどうにか打破したいという思いから政界に入ることを決め、水谷さんの言葉を借りれば、「国」の大工さんという立場に今あります。

水谷さんはというと自身の母親の影響で教師の道を目指したといいます。当初は大学の教員志望だったのが、母親の影響で学生運動に参加したり、在日の方々の支援をしたり、貧しい人のお手伝いをしている内に、考えが変わってきたそうです。

そこで直面した貧富の差をどうすればいいか。人間が変われば世の中は良くなるのではないか、どんな制度や国家体制であっても、です。まず40名の人おもいやりの心を持った優しい子を育てる、その40人がまた40人に伝えてくれれば、いずれこの国は皆自分の生徒になって優しいすばらしい国になるのではと考え、水谷さんはこのようにしてこの国を変えたいとし、教員になったといいます。

■夢の現状
現在、僕・私はこうなりたいと胸張っていえる子どもたちが何人いるのでしょうか。

子どもは生き生きと働いている大人の姿を見て、こういう仕事をしたいという夢を見ます。小さい頃は野球選手、サッカー選手、または食べ物屋さんというのが定番ですが、昨今の高校生に将来何になりたいかという大手広告会社のアンケートによると、第一位が公務員、第二位が大会社の正社員です。これはあまりにも堅実すぎて夢がありません。目を輝かせて働いている大人たちの姿を子どもたちに伝える必要があると思います。

また、子どもたちの職業の意識は時代によって変わってきています。昔から野球選手・サッカー選手は人気の職業です。一転して、やや減少してきているのは「技術者(エンジニア)」。理系があまり評価されず、世の中で評価されていない印象が持たれているのが理由だといいます。もう一点は「客室乗務員(スチュアーデス)」です。昔は女の子といったらなりたい職業第一位だったのですが昨今は順位が下がっています。

反対に、近年人気の職業は、「トリマー(ペットの毛をカットする仕事)」や「声優」など、子どもたちに身近に感じられる職業が上位ランクに入ります。そして時代を通して子どもたちに最も人気が無い職業とはなんでしょうか。それは「農業」です。もっと農業に関しては新たな考え方を若者に持って欲しい、と私たちは話し合いました。

■夢を持つことの大切さ
いま現代、「就職氷河期」と言われていますが、その発端はなんでしょうか。

これは1998年の金融危機・バブル崩壊により、企業が新卒採用者を大幅削減してしまいました。加えてその同時期に1996年までにあった「就職協定」が廃止されました。その協定がある事で、大学四年生の夏までは就職活動をしなくても済んだのが、徐々に青田買い式の就職活動が始まり、3年生の秋にまで前倒しになって就職活動が激化していってしまいました。ある学生は10社以上も内定を取り、ある学生は4年の夏になっても1社も内定が取れない状態が発生するようになりました。1990年のバブル期だと大学の就職内定率は80%を超えていました。ところが、2000年では56%。その後、7割弱まで回復したのですが、2008年のリーマンショックで再び下降し、現時点で62%です。

ひとつ注意したいのはこの数字はマクロ上のものです。企業であっても大企業というのは有効求人倍率(一人に対していくつかの仕事があるかの倍率)が0.49に対して、30人未満の企業に限定すると3.35倍の求人があります。先ほど触れた農業への道もそうですが、少し視野を広げていくと仕事があることを忘れないでほしいと思います。

よって、子ども達は「夢なんか持っていてもしようがない」と思わないで下さい。夢を持ったらその夢の実現のためにいろいろ挑戦してみましょう、その夢をふくらませて形作っていきましょう。結果として夢は叶わないかもしれません。私の大工への夢もそうでした。しかし、その夢のために努力してきたことは、決して今の自分に無駄になっていません。是非子どもたちには夢を持って、そして一歩一歩と出来ることから動き出してほしいですね。

「子どもたちのメッセージ」は毎週日曜日17:25~40 ラジオ日本AM1422Hzで放送中です。(→番組ホームページ)(※2012年9月末をもって放送終了しました)

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