5月20日 子どもたちへのメッセージ(第二十一回)の収録を終えて

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今週と来週は「子どもたちの再チャレンジ」をテーマにお届けします。今回はその中でも「不登校」の問題についてとり上げました。「適応指導教室」や「保健室登校」など学校側でいくつか対応がされていますが、これらの問題点について考えてみました。子どもが教室で元気に教育を受けられる為に、いま何が必要なのでしょうか。

■「不登校」の子どもたち
皆様、こんにちは。参議院議員の浜田まさよしです。今回は不登校の現状についてお話しします。

不登校になった子どもたちの数は2010年度で、小学校で約2万人、中学校で10万人、高校で5万人です。

水谷さん曰く、「不登校」の定義で「年間30日以上病気とか明確な理由なしに欠席をした場合」不登校とみなされるとあります。このたった30日間という定義について色々と議論があります。また、不登校の子どもたちが学校ではなくて、別の場所に集団で教育委員会の傘下の先生方に授業を受けられる「適応指導教室」や先ほど触れた「保健室登校」なども、ある意味教室に入れないにも関わらず、子どもたちの不利益を避けるため、出席扱いとなってあります。よって不登校の実態数はさらに多いと言われています。

■不登校の原因
では子どもたちが不登校になった原因は何でしょうか。

多くの子どもたちから相談を受けている水谷さんの元には不登校の子どもたちから声も多いそうです。不登校の原因については「いじめ」とされることも多く、確かにその要因もあるようですが、それ以上に多いのは「不適用」だと言います。

「人間関係が作れない」、「友達が出来ない」、「誰も自分に構ってくれない」等、実は今の子どもたちというのは、人間関係が正常に作れない子が多いのです。その背景には、昔と異なりTVや漫画、ゲームなど1人で遊ぶことが多く、公園など外で人間関係を作らないまま小学校・中学校に入学し、結果人間関係が上手くいかず不登校になってしまうと水谷さんは指摘します。

不登校とは、一つは先ほど挙げ本人の要因、また学校側の例えばいじめなどの要因、三番目には「家庭的要因」があるといわれます。

精神科医の斉藤万比古先生によりますと、ある意味で家庭が不登校を受け入れる一種の余裕が生じたことから、子どもたち自身が何らかの葛藤を生じた時選びやすい選択肢として不登校になるそうです。つまり不登校というのは子どもたちが発する一種の拒絶のメッセージではないのでしょうか。そのメッセージを学校側や保護者がどう受け取めるかが課題です。

■使われていない専門機関
不登校の問題は学校だけでなく児童相談所、医療機関、弁護士など多くの対応が必要とされる問題です。

しかし、不登校の子どもたち、また保護者の方々がそのような専門機関に相談したかというと、その比率はさほど高くないデータがあります。先ほど触れた教育委員会の設置する適用指導教室は全国に1265か所もあり、職員は常勤・非常勤を合わせると4000名の体制です。ところが、中学校の不登校の子どもたちが使っている比率はたった11%、高校段階に至っては0.5%です。養護教諭やスクールカウンセラーは4割、5割活用されているのですから、このような専門機関の使用率がいかに低いかがよく分かります。

■不登校=「心」の問題
1990年代から不登校というのは「心」の問題だと言われ、スクールカウンセラーが派遣され始めました。次の段階としてソーシャルワーカーがいかに学校と福祉を結びつけるかが重要です。例えば国民健康保険を滞納している家庭の不登校の子どもがいた場合、学校が専門機関に連れていけるように、手配するなどしないと、子どもたちの問題はなかなか解決できません。

生活保護や児童虐待、暴力行為という社会や家庭の問題が不登校など学校の問題として表面に出ることが多くあります。学校の問題をちゃんと解決できれば家庭や社会の問題も解決できるという、逆の発想を持ってこの問題に取り組む姿勢が必要ではないでしょうか。

■不登校に悩む家族、子どもたちへ
繰り返しになりますが、不登校は子どもたちの拒絶のメッセージです。是非保護者の皆さんはそのメッセージを受け取って自分たちだけで抱え込まずに、専門機関とよく相談してほしいと思います。専門機関に相談すれば約3割は解決し、約5割は改善したという報告もあります。子どもたちが不登校を乗り越えていくことは必ず出来ると是非言いたいです。

「子どもたちのメッセージ」は毎週日曜日17:25~40 ラジオ日本AM1422Hzで放送中です。(→番組ホームページ

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