9月16日 子どもたちへのメッセージ(第三十八回)の収録を終えて
今週は「教師」という仕事について取り上げました。日本での教師の過重労働が問題とされていますが、授業など子どもたちと実際に触れ合う時間ではなく、それ以外の業務での負担が大きいという実態があります。特に部活動の運営においては金銭面でもそれが顕著になります。
■教師の労働時間
皆様、こんにちは。参議院議員の浜田まさよしです。今週は「教師」という仕事について考えます。全ての人がお世話になる職業でありながらも、教師の仕事はあまり知られていません。
特に日本の教師程働いている人はいない、と言われているくらいにその労働は激務です。調べてみると、学校の授業や実際の生徒に関わっている時間は一日に6時間44分。ところが、その準備の為にさらに2時間10分。合わせて会議や報告書作成など学校の運営にかかわる業務、こちらが1時間39分。その他、何か問題があった場合の保護者やPTAの外部対応が、平均して1日で12分。そうすると一日の勤務時間は10時間45分で、年間で1960時間も働いています。これはかなりの過重労働です。
■過重労働の実態
この労働時間に驚く人もいるかもしれません。例えば子どもたちが夏休みで学校が休みだとしても、当たり前ですが教師の休日は普通の労働者と同じになります。原則として学校に勤務し、またほとんどの先生は夏休みですら残業しています。先生によっては部活の大会や、研修もあります。先ほどの時間をOECD諸国の平均と照らし合わせると、日本の教師はそれよりも2割ほど労働時間が長いにも関わらず、授業時間でいうとOECD諸国の先生の方が長いという結果になります。
よって、日本の教師にはもっと子供たちに携わる時間を長くしてほしいと思います。その為には、それ以外の時間をいかに短くするか、これが課題になります。元教員である水谷さんは、この労働問題についてさらに言及しました。小中高の教員の中で授業に関して一番時間を取っている小学校ではその授業時間の多さが負担となっているといいます。
小学校では教員が全ての科目の授業を持たなくてはいけないので、週に5日間30時間勤務となり、空き時間が作れません。中学校は上限24時間、高校は原則18時間、小学校と比べ授業に空きがあってその時間に教材研究などができます。そこを変えていかないといけないと水谷さんは指摘しました。
他にも挙がったのは部活動の問題です。水谷さん自身は吹奏楽部の顧問を経験していたそうですが、年間の休みは正月の三日間で、それ以外は毎日部活だったといいます。昔はそれで何の手当てもつきませんでした。
その後からいくらか手当ては出るようになりましたが、部活の運営は顧問の先生の善意で成り立っていると言えます。そこで善意だけではいけないと国も取り組みをして、2008年から義務教育の国庫負担金で、一日当たりの手当を今までの1200円から2400円に引き上げました。しかし、それでもほとんどの教師の皆さんは自腹を切っています。吹奏楽でいえば楽譜やCDを購入する等、大体年間で20万円程自腹を切っている教師もいます。時間だけでなく金銭面でもそこまでやっていて、本当に教師の皆さんには頭が下がります。
そこまで教師に対して負担が大きいなら、部活動を諸外国のように社会体育化すべきではいう意見もあります。しかし、その意見に誰よりも反対するのは他ならぬ教師自身だといいます。部活は自分たちの人生なのだから取り上げないでほしい、そのような意見もあります。このように生徒も先生方も部活を楽しみにしている方が多い事が分かります。他にも授業時間では見られない子供たちの違う側面を発見できる事から、教師としての生徒指導という面でも部活は重要です。
■生徒との距離
あの時、あの先生がいたから頑張れた、そう思う人も多いかと思います。
振り返ると私が高校生の時も、先生との間に信頼関係があったからうまく高校生活を送れたのではと思います。しかし、現在では先生と生徒の間に距離が空いていることで問題になる事も多いです。
ここで水谷さんは教師にいま必要なものとはどのようなものかを挙げました。まず一つ目に「絶対的な知識」。どんなに善良な人間でも知識がなければ教えることができないのだから、自分の専門分野は子どもたちがぐうの音もでないくらいに、特に今の若い教員は徹底して日々勉強してほしいと。
もう一つは待つ姿勢を作って、子供をゆとりを持って待てる教員になってほしいという事。こうしよう、ああしようと子どもを動かすのではなく、待つ姿勢、これが本当の教育でないかと、日本の教員の立場がどんどん変化していく中で教員をし続けていた水谷さんはメッセージを送りました。
「子どもたちのメッセージ」は毎週日曜日17:25~40 ラジオ日本AM1422Hzで放送中です。(→番組ホームページ)(※2012年9月末をもって放送終了しました)
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