6月10日 子どもたちへのメッセージ(第二十四回)の収録を終えて
今週は先週に引き続き、子どもたちを守る法律や条例についてお話しします。インターネットや漫画、アニメなどの一部の規制が必要なものを取り締まることが、「表現の自由」の侵害であるとして反対運動が起きる事態もあります。その他にも、法務省が行っている「子ども人権SOSミニレター」の紹介など、今回も子どもたちの安全や生活を守る為に話し合いました。
■「児童ポルノ及び買春禁止法」
皆様、こんにちは。参議院議員の浜田まさよしです。本日は先週に引き続き、子どもたちを守る法律や条例について考えていきたいと思います。
前回の放送の最後に出た「映倫」の問題で、海外と比べ日本の規制は緩いというお話をしましたが、それに関連した「児童ポルノ及び買春禁止法」について水谷さんから説明がありました。現在、世界で児童ポルノについて大変な問題になっていて、若い子供のヌードや性行為などを世界中で配信してインターネットで、または漫画や映像を通して観られています。そして実は、世界中の児童ポルノの80%程度は日本発となっています。
この点から見ても日本の法律はやはり緩いという事がよく分かります。「児童ポルノ及び買春禁止法」という法律自体は1999年に作られた法律なのですが、児童ポルノ自体を、単に所持していても罰せられないことや、最近はCGやアニメといったものもありますが、これについても所持は禁止されていません。日本はどうしても「表現の自由」が強く主張されていて、この法律を作るときも容易ではなかったのですが、現在に至ってもなかなか規制が前進していない事が問題となっています。
■「表現の自由」と規制
ここで2010年に都議会で大変議論になった、東京都における不健全図書の取扱いについてふれたいと思います
この条例により、過激な性描写を理由とした漫画・アニメの販売を制限するように改正されたのですが、漫画家の方々がボイコット運動を行うなど反対の声が多くありました。我々も、全ての漫画やアニメを制限するのではなくて、その中の一部を対象としているのですが、これが本当に表現の自由なのかそうでないのか国民の声を聞きたいです。
私は、大人とは違い子どもたちというのはなかなか、フィクションの世界とノンフィクションの世界と区別しきれない部分があると思います。そのような影響を鑑みて、大人側で規制することを考えてほしいと思います。出版や報道の関係者の方々がモラルの中で自主規制を行えば、このような法律の中で規制されることはないのではないかと思います。法律違反として全てを押収する事は、確かに表現の自由の侵害という問題がありますので、法律で規制する前に自主規制を行うことが一番の道ではないでしょうか。
■行政にできること
前回の放送で、子どもを守る法律を紹介する際に、各省の管轄に分けて説明しましたが、それでもわかる通り、各行政が縦割りになっていて、他と連携しづらい問題があります。例えば子どもの生活や安全を守る一番の場所は児童相談所です。これは各都道府県に設置されています。しかし、いわゆる子どもたちの側にいる教育委員会、先生方は市町村の所属になります。
この縦割り行政を分け、各部署が子どもたちを守る意識を共有することが求められます。時に児童福祉法の改正で2005年から市町村も虐待の通報先になりました。今までの通報先であった児童相談所は、人員を増やしてもそれ以上に虐待の件数は増え、常に人は足らない状態です。やはり一般的な問題は市町村でも解決できるように、権限や予算を拡充していく、これは重要だと思います。
親の次に子どもたちの近くにいる教員には、権限と他にも色々な知識が必要で、文部科学省が教員用に虐待対応についての研修テキストを作成しているのですが、現在教員が忙しすぎて、児童虐待など子どもたちが抱える問題に取り掛かる時間が無いという話も聞いています。よって権限も与えながら、人員も用意しなくてはいけないと考えています。最近はスクールカウンセラーという学校の心の問題の専門家だけではなくて、学校と福祉をつなぐスクールソーシャルワーカー、このような人員を学校に配置しながらさらに権限を与えていく、そうしないと学校の先生も手一杯だと思います。
■「子ども人権SOSミニレター」
児童相談所や市町村の他にも子どもたちが相談できる場所はあるのでしょうか。
皆さんは法務省の人権擁護局が任命した、「人権相談員」という人たちが、全国すべてのブロックに一万四千人いることをご存知でしょうか。元教員であったり、弁護士であったり、主婦の方もいます。そのような方々や法務省が配布しているのが「子ども人権SOSミニレター」です。これを全国の小中学生に配って、手紙を書くと無料で人権擁護部に送られ、必ず返事を書いてくれます。年間二万件の相談があり、これが本当に評判になっています
ここでは様々な相談がありまして、例えば大縄とびができないという身近な相談や、虐待やいじめの問題もあって親や先生に言えないという声もあります。たとえ平仮名だけ数行で書いた手紙であっても、法務省の担当者や、人権擁護委員の方が読み、返事を書いたことで解決したと、多くの嬉しい声も聞いています。
今日は先週に引き続きまして、子どもたちを守る法律や条例について考えてみました。
「子どもたちのメッセージ」は毎週日曜日17:25~40 ラジオ日本AM1422Hzで放送中です。(→番組ホームページ)
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