6月3日 子どもたちへのメッセージ(第二十三回)の収録を終えて
第二十三回の放送では「子どもたちを守る法律や条例」について取り上げました。現在子どもたちを守る為に多様な法律や条例が存在しています。福祉、教育、虐待など多岐に渡る中、重要な事は世の中や社会の変化に応じて新しい法律を作っていくことです。同様に既存の法律も随時見直していくことが大切です。また、子ども自身だけでなく周りの大人も含めた幅広い規制こそが、本当の子どもたちを守ることにつながるのではないでしょうか。
■多様な法律や条例
皆様、こんにちは。参議院議員の浜田まさよしです。本日は「子どもたちを守る法律や条例」について考えていきたいと思います。
多様な法律がある中で、代表的なものとして例えば刑法や民法、また、児童労働の禁止として「労働基準法」があります。このような法律や条例の一部で禁止するものだけでなく、子どもたちの為の法律も数多くあります。
一つは厚生労働省系の法律、例えば「児童福祉法」、「母子福祉法」、「児童扶養手当法」です。一方で、子どもたちが学ぶと言う関連から文部科学省系の「学校教育法」、最近では通学路の安全対策という事で「学校保健安全法」、内閣府等の法律では、いわゆる「児童ポルノ禁止法」、「児童虐待防止法」、「出会い系サイト規制法」、このような法律が制定されてきています。
子どもたちに対する法律の改善は、歴史を見れば明らかです。水谷さんが話した通り、旧大日本帝国憲法上の旧民法においては、子どもというのは親に属するものとして扱われていました。それが今の日本国憲法の中で、子どもも保護されるべき対象だとして、様々な法律が作られていきました。1994年に日本が「子どもの権利条約」に批准した事で子どもの定義が「18歳未満」とはっきり定義された事は大きな変化だと言われています。その中で、特に水谷さんが近年重要視しているのが、2007年に改正され、2008年4月1日から遂行された「改正児童虐待防止法」です。
■児童虐待防止法の改正
それまで児童虐待防止法は存在していたのですが、そもそも「児童」というのは15歳未満、中学生までとされていました。しかし、この法律の改正のおかげで高校生も虐待の対象として機関に相談できるようになりました。また、虐待の定義も非常に広義になり、一つ目は身体への暴行、二つ目はわいせつな行為、三つ目は食事を与えない、または子どもを放置をするというネグレクト、四つ目は父親母親以外の同居人が、それこそ先述のような虐待にあたる行為をした場合、最後に画期的だったのが、言葉など言動における虐待も認められるようになりました。
このように、世の中の変化、社会構造の変化に応じて新しい法律も必要ですし、既存の法律も随時見直ししていくことも重要だと思います。例えば2008年に「子ども・若者育成支援推進法」が成立しました。これはなにかというとニートや引きこもりという問題をいかに支援していくかとい問題に対し、新しく作った問題です。また少し古い法律かもしれませんが、児童扶養手当法という1964年成立の法律があります。元々は母子家庭にしか適用されませんでしたが、現代では父子家庭の増加という問題もあり、これに対しても同法が一昨年から適用になりました。このように時代背景の変化に合わせて随時見直していくことは重要だと思います。
■子どもを守るために幅広い規制を
各都道府県でも子どもたちを守るため、様々な条例が定められています。その中で一番基本的な条例として「青少年健全育成条例」について水谷さんから説明がありました。夜の11時から朝の4時まで深夜徘徊している場合には補導、18歳未満の子どもに成人が性行為をすれば淫行条例違反で罰金、14歳未満であれば暴行罪にあたるなど子どもの為の非常に良い条例です。ところが、47都道府県で、1県だけ当条例を設置していない県があります。それは長野県です。しかし、長野県の考え方としては子どもを法律で縛るのではなくて、教育や環境をきちんと整えて、そういう子どもを出さないのが最善であって、法で子どもを規制するのは好ましくないだろうとしています。非常に理想的な考えだと思うのですが、現実的にこの問題をどうするのか、国民レベルで考えるべき問題だと水谷さんは指摘しました。
子どもたちだけでなく周りの人間もこの行為はしてはいけないといくつか規制されています。例えば現在、大阪市で問題になった、入れ墨(タトゥー)の問題。これについては神奈川県の条例ではその行為やあっせんであっても禁止だとしています。あっせん行為を18歳以下の子供にした場合は1年以下の懲役、50万以下の罰金になります。このように子どもたちを守るためには周りの大人のルールも必要です。従って、私はこのような条例は必要だと思っています。
子どもを守る為の規制は多方面に求められています。映画倫理員会、いわゆる「映倫」は4つの規制を持っています。実はあらゆる映像、特に映画に置いては海外から入ってきた映画も4つに区分けされています。まずは「G」(Good)。これは誰に見せてもよいと言う意味です。次に「PG12」。これは暴力や性描写の関係で親の許可が無い場合は12歳未満の子供は見ないようにするものです。後にはR15、R18という規定に続きます。しかし、アメリカやドイツ、フランスなどの海外の同じような規制と比べると、日本の規制が一番緩いと水谷さんは言います。
いまだ多くの問題が残る子どもたちを守る為の法律や条例、このテーマについては次回も引き続き取り上げていきたいと思います。
「子どもたちのメッセージ」は毎週日曜日17:25~40 ラジオ日本AM1422Hzで放送中です。(→番組ホームページ)
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