5月27日 子どもたちへのメッセージ(第二十二回)の収録を終えて
今週も先週に引き続き「子どもたちの再チャレンジ」というテーマでお送りします。高校を中退してしまった子どもたちが、社会を目指すにはどのような方法があるでしょうか。通信制、定時制、大検から発展した高校卒業程度資格認定試験制度、様々な教育システムがある中で、大切なのはひとりひとりに合った教育の仕方だということです。子どもたちや保護者の皆様には、将来に対して決して諦めずに最善の選択をしていってほしいと思います。
■「高校卒業程度資格認定試験制度」
皆様、こんにちは。参議院議員の浜田まさよしです。今回も先週に引き続き、子どもたちの再チャレンジというテーマでお話しします。
2009年に高校を中退した子どもたちの5年後を調査した結果、半数は働いており、四分の一は学校に通っています。その中では4年制大学が3割程度、専修・各種学校が1割になります。その支援となっているのが、国の「高校卒業程度資格認定試験」制度です。かつての大学入学試験検定制度(大検制度)は、あくまで高校を卒業していない人が大学入試を受けるためであったので、不登校などで高校在学中の生徒は受けられませんでした。また各種資格で高卒扱いにならない等の問題点があり、我が党の強い主張で2005年から高校卒業資格認定試験の制度に発展させました。
この試験を受けると在学中の習得単位の科目の試験が免除され、受験生の半数である高校中退者が活用しています。この認定試験ですごいと思ったのが、平成23年度のこの試験の合格者の平均年齢は21.3歳、最高年齢はなんと81歳です。
■充実された制度
認定試験に合格するためにどのような方法があるのでしょうか。
文部省のホームページで、受験要領や過去6回分の過去問が掲載されています。よって、自宅で自習してもいいですし、通信教育や予備校などもありますので自分の気に入った勉強方法を探すのがいいと思います。
かつ、合格すれば大学に進学する際の学生支援機構の奨学金扱いになります。昨年、横浜の高校中退生のお母様から、高卒者と扱いに差別があると指摘をいただき、本年から大きく改善されました。その他にも、無利子奨学金の扱いもできますし、海外大学入学の際にも適用が決まりました。その中退されたお子さんもその後、認定試験を受けて無事海外の大学に奨学金を受けて進学されました。
■定時制高校の可能性
ただ認定試験の問題は大学に入ろうとする人はともかく、それ以外の高校の資格だけ欲しい人の場合だと、本来高等学校教育でのコミュニティーを経験できないままになってしまうという問題点があります。水谷さんは、むしろ不登校やひきこもりだった子どもたちは夜間定時制高校を、選択肢の一つに是非入れてほしいと述べました。そこで一生に通じる仲間を作りながら、将来について語り合い次へと進んでいく、この経験は必ずプラスになると話されました。
確かに、通信制高校では、いわゆる添削指導やインターネットを通じたものになります。先生との関係、子ども同士の関係、知識としての教育ではなくてコミュニティーを含めた様々なスキル、これらは人間同士でなければ伝わらないものなので、スクーリングに子どもたちを参加させるよう学校側が取り組んでいるという話を聞きました。また、夜間ではない定時制高校というのもあり全国的に増えてきています。「3部制定時制高校」といって午前部4時間、午後部4時間、夜間部4時間と、どこにでも所属することもできます。多様な定時制高校として夜間だけでなく、朝から通える定時制高校というものが全国都道府県にあります。
■中学生に向けたサポートも
不登校の中学生向けのサポートについて水谷さんから紹介がありました。京都市にある「洛風中学校」と「洛友中学校」という、廃校になった中学校を使った、中学校についてです。特にこの洛友中学校は午前部・午後部と夜間部がある3部制定時制中学です。どうしても昼夜逆転の生活をして朝起きられない子どもも、不登校が理由で学校に通いたい子どもも、無理なく指導していける体制です。夜間だけでなく、子どもたちの生活リズムを取り戻し、勉強を補って普通の高校に進学していければという試みを全国に先駆けて京都市が行いました。
また、「サポート校」という、通信制高校などに在籍する生徒がスムーズに卒業できるよう学習面だけでなく、生活面でもサポートを行う民間の教育施設があります。あるサポート校の学院長が言われていたのは「一人一人に合った教育の仕方が重要」だということです。今まであったことよりもその子どもたちの今と将来を考えたい、このように現在、多様な教育システムが整いつつありますので、色々な制度を組み合わせていきながら諦めずにチャレンジしていってほしいと思います。
「子どもたちのメッセージ」は毎週日曜日17:25~40 ラジオ日本AM1422Hzで放送中です。(→番組ホームページ)
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