2月26日 子どもたちへのメッセージ(第九回)の収録を終えて
第九回のテーマは「学校で問題を抱える子どもたち」です。いまこどもたちの間で「学ぶ意欲」の低下が問題視されています。そのような学習の障害は、犯罪の増加につながると水谷さんは指摘しました。また、浜田は発達障害の子どもたちによる特別支援学校の支援の問題を取り上げました。子どもたちの「学び直し」の重要さが求められる中、日本の「6・3制」による教育システムを見直し、よりよい学校の居場所づくりのために今一度考えていきたいと思います。
■学校がつまらない、授業についていけない子どもたち
皆様、こんにちは。参議院議員の浜田まさよしです。第九回目になる今回の放送では「学校で問題を抱える子どもたち」について取り上げました。
今、学校がつまらない、授業についていけないという子どもたちが増えているという声をよく聞きます。データを調べますと、OECD諸国を中心とした国際的な学力調査PISA(Program for student Assessment)において、日本の高校一年生にあたる15歳の子どもたちの学力を調べると、平均点は65か国中すべての科目で10位以内ですが、なんと日本では4ランクでの最低ランクの子どもたちの比率が高い結果がでていました。その背景には学力よりも「学ぶ意欲」の低下、二極化の問題が指摘されています。これは単に経済的理由や学習の遅れだけが理由ではありません。例えば今、生活保護の家庭が150万世帯、200万人を突破し、その中で小中高の子どもたちは20万人になります。その子どもたちや保護者には「なんとかしても高校に進学しよう」という意思が弱い家庭が多いというのです。将来の学生生活のイメージが両親にもないし、子どもたちにもない。よって彼らに「学ぶ意欲」をいかに維持、向上させるかが問題になります。
■子ども側の問題と教える側の問題
ここで水谷さんが特に問題視したのは、学習の障害が犯罪増加の原因となっていることでした。小学校で授業につまずいてしまった子どもたちが、中学に上がって授業を受けることが苦痛になり、結果、悪い集団に入り犯罪に向かってしまうケースが非常に多いのだそうです。落ちこぼれを作らない、学び直しができる教育体制を作っていってほしいと彼は訴えました。私もやはり子どもたちが自分のペースで学び直しができることは重要だと考えます。
そしてそのような子どもたちとともに、いま大きな課題となっているのは、いわゆる学習障害や発達障害の子どもたちです。文部科学省調査では子どもたちの約6.3%、つまり35人学級に2人という現状だといわれています。今、特別支援学校の需要が増えていて、どこも満員で教室と教員が足らない状態です。また、普通高校を受験するには学力は厳しい一方、特別支援学校高等部では物足りないという、いわゆる障害と普通の子どもたちの間の、グレーゾーンの子どもたちが増えていて、彼らにも支援が求められています。平成19年度から学校教育法が改正され「特別支援教育」がスタートしましたが、小中学校に比べ高校の教育環境の整備が遅れている現状があります。
■6・3制について
学び直しに着目するにあたって、「6・3制(高校を含めると6・3・3制)」の日本の教育システムに問題があると水谷さんは指摘しました。勉強を理解していようがしてまいが、六年たてば小学校を卒業し、三年たてば中学校を卒業します。オーストラリアでは小学校卒、中学校卒には資格があり、試験に受からないと進学できず、結果、六年で終わるところを七年、八年かかる子どもたちが多くいるといいます。しかし親は文句をいわず、逆に分からないまま先を進めていくより、ちゃんと勉強が身についていてくれる方が、長いこの子の人生の中ではプラスだと感謝しているそうです。このように日本も6・3制の在り方を考えてほしいと水谷さんは訴えました。習熟度別クラスを徹底して、学年のやり直しができて、きちんと知識を身につけてもらえる体制作りを、是非国の方でやってもらいたい、それが彼の意見です。
確かにこどもたちの勉強がつまずく時期というのは中学1年生が多いとよく聞きます。小学校六年生の和気あいあいとした雰囲気が教科担当の授業になって急に難しくなっていってしまうからです。そのような時に中学の先生が小学校に来るとか、小中学校お互いが協力し合ってうまくつながっていく、そういう所から6・3制を見直すことは重要だと思います。
■問題を抱える子どもたちに
「問題を抱える子どもたち」であっても、学校がつまらない、苦痛な場所として子どもたちに受けとめられるのではなく、「つながりを感じられる」、「ほっとする」場所として受けとめられるようにすることが必要なのではないでしょうか。だからこそ水谷さんも指摘したようにそれぞれの子どもたちの個性や可能性を教員、親、社会が支え、伸ばしていける体制作りが求められています。
また教員自身が問題を抱えてしまって、逆に心の病となっているケースが増えています。そういう意味では先生方ともしっかりと支援する取組みを是非考えていきたいと思っています。
「子どもたちのメッセージ」は毎週日曜日17:25~40 ラジオ日本AM1422Hzで放送中です。(→番組ホームページ)
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