【対談】この夏休みこどもと向き合おう

,

子どもたちの夏休みは半ばを過ぎました。残りの期間に、親は子どもにどう接していけばいいのか――。「夜回り先生」こと水谷修氏と、同氏の高校の同級生で青春時代をともに過ごした公明党の浜田昌良参院議員に語り合ってもらいました。

水谷氏と浜田

『自信のない子ほど派手な格好』

浜 田:

お久しぶりです。夏休みといえば、高校時代に水谷さんの家に泊めてもらった思い出があります。今も昔も子どもたちにとって一番楽しい時期ですね。

水 谷:

懐かしいですね。夏休みは、子どもたちが“夜の世界の毒牙”に引っかかりやすい時期でもあります。
いろいろな口実で外泊し、夜更け過ぎまで遊びやすくなる。その時、自分に自信のない子ほど、化粧をして派手な格好をします。夜の世界の連中は、そこに目を付けて、子どもたちを狙う。

浜 田:

家で怒られて、学校でも評価されず、居場所を失って「自分なんかどうしようもない」と思っている子が狙われやすいということですね。

水 谷:

その通り。そういう子ほど、夜の世界の大人におだてられると舞い上がる。でも、その先は、傷ついた者同士が足を引っ張り合う醜い世界です。

かつて、夏休みに、親の一言でふてくされて夜の世界に入った少女が売春を強要され、HIV(エイズウイルス)に感染し発症して、17歳で亡くなったことがありました。あんな辛く悲しいことは、二度と繰り返したくありません。

浜 田:

夏休みは、旅行に出掛ける家族も多いと思います。これは、私自身の苦い経験でもありますが、行き先などを決めるのに、親はとかく子どもを自分のペースに巻き込もうとして、反発を招いてしまう。

水 谷:

大事なのは、どこへ行くかを家族で考えること。計画に加わることが、家族の一員としての自分を確認することになるのです。
旅行でなくても、一緒に料理や洗濯をしたり、“川の字”になって寝るとか……。ぜひ、親の皆さんには、怒鳴ったりせずニコニコと子どもの話を聞く夏休みにしてほしい。そこから、子どもの心が開ける。一学期に抱えていた問題も分かり、対処できるかもしれません。『抱え込まず専門窓口に相談を』

浜 田:

今、子どもの非行や引きこもりで悩んでいる方がたくさんおられます。

水 谷:

大胆な言い方をすれば、親は子育てのプロではありません。
子だくさんの親でもわずか3、4人。うまくいかないからといって“親失格”と思う必要はないのです。すべてを抱え込まず、専門の相談窓口に行くことが大事です。

非行傾向のある場合は、すべての都道府県警にある青少年サポートセンターなどで専門家に相談に乗ってもらえます。引きこもりの場合は、まず保健所に相談してください。保健所は心の問題にも対処し、必要に応じて専門家のそろった都道府県の精神保健福祉センターなどにつなぎます。

浜 田:

引きこもりの子どもは、うつに近い状態の場合が少なくありません。専門家によると、中高生の時に初めてうつ病にかかるケースが多く、「イライラする」のがその特色だそうです。
公明党は7月31日に、舛添要一厚生労働相に「子どものうつ病の治療研究の推進」などを要請しました。今後は、公明党の推進で2005年度から全国の全公立中学校(3学級以上の約1万校)に配置されたスクールカウンセラーを活用し、心の問題に対処するための研修や体制の充実を図ります。 また、高校も含め、学校が保健所など専門機関と連携して、問題を抱える生徒を支え、再び学校に戻れる道筋を確立していきます。

水 谷:

重要なことです。ぜひ、一緒に取り組みたい。

『青少年の身近に薬物が存在』

浜 田:

薬物問題の現状については、どう見ていますか。

水 谷:

摘発件数は減っていますが、それは警察の取り締まり体制が手薄になった結果であり、薬物乱用の実態は依然、深刻だと思います。青少年の身近なところに、覚せい剤などの薬物が存在しているのです。

浜 田:

公明党はこれまで、党を挙げて薬物乱用対策を推進してきました。今後も、薬物が日本に入るのを水際で防ぐ体制づくりや取り締まり強化、教育体制の充実に取り組みます。

水 谷:

薬物乱用対策の強化を求める署名運動を行うなど、公明党の取り組みはいつも心強い。脱法ドラッグ規制や麻薬取締官増員の実現につながりましたね。 薬物問題で今後重要なのは、親、大人の側の意識改革です。多くの人々が「うちの子に限って」と無関係な問題ととらえ、タブー視する向きがあります。しかし、「あり得る」という前提で、きちんと子どもに情報を教えていかないと、いざという時に取り返しがつきません。これは、感染症のまん延が深刻な「性」の問題も同じです。

『国と地方の連携が公明党の強み』

浜 田:

重要な観点ですね。未来を担う子どもたちが輝く日本にしていくため、今後も「現場」を知る水谷さんと連携し、全力で取り組んでいきます。

水 谷:

かつて、ある地域の学校教育の問題で浜田さんに相談したら、その地域の議員とすぐに連携を取り、対処してもらい、大変に感動しました。この国会議員と地方議員の連携は、他党にない公明党の強みです。これをさらに生かしてもらいたい。期待しています。

【みずたに・おさむ】1956年生まれ。元高校教諭で、青少年の非行と薬物汚染を防止するため、夜の繁華街のパトロールを通して多くの若者と触れ合う「夜回り」や各地での講演などを精力的に行っている。著書は「さらば、哀しみのドラッグ」(高文研)など多数。

,

関連記事