地球温暖化対策・中期目標策定で政府・与党のコンセンサスをリード(09年6月)
09年末に予定されているデンマーク・コペンハーゲンにおける京都議定書の次の温暖化防止の枠組み合意に向けての我が国対策のあり方で、09年5月の時点で国論が二分されている状況にありました。このような状況の中で、浜田は、内閣官房、環境省、経済産業省、外務省、財務省の担当幹部と直談判を行い、以下の5原則をとりまとめ、斉藤環境大臣及び太田代表に要請しました。
- 今回の中期目標の設定の最大の目的はポスト京都の枠組みに米及び中を如何に参加させるかということである。そのために我が国がどのようなカードを切ればよいかという点が基本である。
- 温暖化対策の目標は、あくまで2050年で世界全体の排出量の半減であり、2020年はその通過点である(特にこの点を踏み外すと米国の参加は危うくなる)。
- 京都議定書達成において約3.5億トンの排出権取引(直接的に温暖化ガスの削減につながっているCDMはその一部に過ぎない)で約7000億円の財政出動・産業界の支出を余儀なくされたが、今後の厳しい経済財政事情及び将来の取引価格高騰(限界削減コストで見れば我が国の場合5倍、欧州の場合2.5倍に高騰)を踏まえれば、我が国の中期目標は最初から、オフセット(森林吸収や排出権取引)を前提とすべきではない。
- 当初選択肢と考えられていた90年比25%という我が国の目標数字は米国にとってもはあまり心地よいものとは評価されない。よって、我が国が掲げるべき 2020年の中期目標は、2005年比14%を基本として考えるべきである。偶然にも、この数字は、欧州及び米国の目標と同じ値となっているが、これらの国々の場合、オフセットをかなりの部分含んだものであるのに対し、我が国のものは全て排出量の削減によるものであることを特色とすべきである。
- 但し、我が国として、オフセットを全く行わないというのではなく、その部分は、先進国又は世界の排出量削減への貢献として、プラスアルファとして行うことをあわせて宣言すべきである。そのプラスアルファの幅は、次期枠組み交渉合意に向けて我が国が議論をリードする過程の中で決定すべきである。
これらを受け、その後の、(1)太陽電池、(2)エコ家電、(3)エコカーなどの効果を織り込み、我が国の中期目標としては、排出権取引や森林吸収などの「オフセット」を除いた純粋排出削減のみだけでも、05年比15%減とすることが政府・与党で決定を見ました。
一方、政権交代後、鳩山首相は国連で「2020年に90年と比べれば25%減」という我が国の中期目標を国内合意もなく宣言してしまいました。これは 2005年比で言えば30%減にあたります。
公明党はオフセットを含め05年比30%(90年比25%)には反対ではありませんが、年末のコペンハーゲンのCOP15までの国際交渉をリードするためにはすべてのカードを表にすることはむしろマイナスと考えていました。この懸念は現実となりました。12月のCOP15では結局、日本は全くリーダーシップを示せなかっただけでなく、先進国で2010~12年の3年間で300億ドル(約2.7兆円)の資金拠出のうち、何と日本が、1.75兆円と半分以上も負担することまで約束されてしまったのです。しかも、これではコペンハーゲン合意は結論で「合意」されず、「take note(留意)」されただけです。
迷走する鳩山外交、真の環境の党・公明党は、国民、産業界が真に納得する地球環境対策、目標を対案して参ります。
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