免疫細胞療法の医療法上の位置づけを明確化し、再生医療を推進(08年12月)
日本人は2人に1人が、がんになり、3人に1人が、がんで亡くなっています。
がん対策基本法が施行され、07年6月にがん対策推進基本計画が策定されました。これにより、外科的療法が中心であった従来のがん対策に加えて、放射線療法及び化学療法の推進が、また、治療の初期段階からの緩和ケアの実施が位置づけられることとなりました。
一方、転移がんや進行がんの患者を対象として、また、再発防止や他の療法との併用として、免疫細胞療法が、新たな治療法として拡大しつつあり、日本全体で254もの医療機関で、のべ2万人以上のがん患者が免疫細胞療法を受けています。この治療法は、微小ながん細胞への効用のみならず、ほとんど副作用がない、入院の必要がない等の長所が考えられることから、将来、がん治療の第4の選択肢として期待される反面、本格的な実用化に向けての研究開発が必ずしも進んでいないのが現状でありました。
その要因として、免疫細胞療法の中心となる細胞加工という技術が、現在の法制度の前提を越えたものであり、無理やり既存の法体系に押し込めようとしているため、優れた技術が実用化につながらないことがあげられます。つまり、医療法の下ではたとえ細胞加工の技術が不十分な者であっても医師であればその行為が認められ、一方、薬事法の下では、本来、自家のみの効果があればよく、その効用は個々人により不均一である免疫細胞療法に対して、万人に対して均一な薬効がなければ法対象と認めないことから、ともに結果として、適切な法規制が技術の進展に及ばない状況となっているからです。
がん対策推進本部でのヒアリング (2008/11/25)
このような状況の中で、浜田は、舛添厚生労働大臣及び甘利規制改革担当大臣に以下の申しれを行いました。
- 現在、臍帯血バンクとして実施されている方式と同様に、免疫細胞療法連絡会の自主基準として実施されている設備基準、品質管理基準等に対し、厚生労働省として評価及び必要により補強し、医療法の下での委託という形で適切な規制を早急に行うこと。
- 将来的には、免疫細胞療法を含む再生医療という工学的な側面を持つ先進分野を扱う法規制の制定を関係省庁と連携して検討すること。
- 患者の経済的負担の軽減に資するよう、高度医療評価制度のより広い適用を検討すること。
これらの申し入れに対し、甘利規制改革担当大臣は「いい話なので、公明党でどんどん推進してほしい」と期待感を表明。舛添厚生労働大臣は、高度医療評価制度について「もっと活用してほしい」と述べました。
08年12月22日の規制改革第3次答申に盛り込まれ、09年度中に第一の要請項目実現に向けて、厚生労働省内に検討会が設置されました。
甘利規制改革担当大臣へ申入れ (2008/12/03)
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