香港中文大学で核廃絶についての公開講座(09年10月)
09年10月22日、外務大臣政務官離任の際にローレンスラオ学長から依頼された香港中文大学での公開講座を行いました。
香港中文大学は、香港大学とともにならぶ名門大学で、文学院(学部)、工商管理学院、教育学院、工程学院(工学部)、医学院、理学院及び社会科学院の7学部、61学系(専攻科)を有し、学生数18,000人という総合大学。前学長のチャールズ・カオ教授が光ファイバーの研究業績で、今年のノーベル物理学賞を受賞され、現在、ノーベル賞受賞者の教授を4名も擁するまさに、知の殿堂です。
講演は、「核兵器のない世界への平和の構築―世界市民との協働―」と題して、約40分にわたり英語で行いました。特に、本年9月24日の国連安全保障理事会での核軍縮サミットにおいて、中国胡錦濤主席が(1)核抑止政策の放棄、(2)非核兵器国及び非核地帯に核兵器を行わない消極的安全保障の国際条約化、(3)核兵器国間の先制不使用の条約化を表明したことに言及し、今こそ、世界市民が「核兵器は絶対悪」、「NPTを脱退して核兵器開発を行おうとする国は人類の敵」との国際規範を確立することが、「核抑止によらない安全保障」への直道と訴え、核廃絶に向けての「ヒロシマ・ナガサキプロセス」を呼びかけさせていただきました。
講演終了後、聴衆からの質疑応答で、なんと、素粒子論で1957年にノーベル物理学賞を受賞した、チェン・ニン・ヤン博士本人から、「オッペンハイマー(原子爆弾の開発者)の忠告に今こそ耳を傾けるとき。公明党の平和への取り組みは賞賛されるべきものだ」とのコメントをいただき、こちらが逆に感動しました。
また、ラオ学長から、「敗者が核兵器を開発し所有しようとすることにどう対応するか。生物兵器や化学兵器との関係をどう考えるか」とのご質問をいただき、「世界で敗者や孤立者を作らないメカニズムが重要であり。よって、核廃絶運動は、経済政策、文化外交との連動が必要。大量破壊兵器として、核兵器と生物兵器・化学兵器を同列に議論する風潮があるが、遺伝的影響を含め被害の永続性などが大きく異なり、同列に議論すべきではない」と答えさせて頂きました。その他、学生から、日本が核兵器を開発する可能性や自衛隊の脅威などについても質問があり、非核三原則、平和憲法についてと伝えていくことの重要性を実感しました。一人、一人との直接対話、そして、世界市民の連帯へ、一歩踏み出していきます。
ラオ香港中文大学学長と会談(2009/10/22)
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