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大学時代の専門は環境分野ではありませんでしたが、通産省・経済産業省で勤務した23年間にいくつかの環境問題を経験させていただきました。
今から10数年前(1991年)、ペットボトルのリサイクルを担当したのが環境問題に本格的に取り組んだきっかけです。当時、便利さも手伝ってペットボトルが急拡大。しかし、ほとんどリサイクルがなされていなかったため、ゴミとして非常に嵩張り、運搬・埋め立て・焼却の費用も急拡大し、自治体が悲鳴を上げだしたころです。リサイクル実験1号プラントの立ち上げ(93年実現)やボトルtoボトル(リサイクルしたペットからもう一度衛生的なボトルをつくる技術)の確立(本年4月から実現)などを経て社会で定着させ、今では世界最高のリサイクル率を誇れるようになりました(2003年で60% cf.米国20%、欧州30%)。しかし、当時は、合成樹脂メーカー、ボトルをつくるメーカー、清涼飲料水やお酒のメーカー、ゴミを回収する地方自治体、消費者代表、それぞれがそれぞれの立場を主張し、費用の押し付け合いをする有様。省庁も通産省だけでなく、厚生省、農林水産省、大蔵省(当時)等、話をまとめていくのに一苦労であリました。
環境問題は、往々にしてこのような関係者の合意をねばり強くまとめていくという努力が必要です。その後1998年に担当した、PRTR制度(Pollutant
Release& Transfer Register: 化学物質排出移動登録制度:有害化学物質被害の未然防止のため、事業所からの排出量を情報公開する制度)を日本で初めて法制化したときも、情報公開に消極的な産業界と営業秘密まで公開しろという一部消費者団体の間で激しいやりとりもありました。当時は自民党が参議院で過半数割れでかつ与党連立もなかった時代。法制化に向けて、野党各党やその支持団体までご意見を伺いに奔走したのも今では一つの思い出となっています。
最近(2003年)では、関係6省(環境省、農林水産省、厚生労働省、文部科学省、財務省及び経済産業省)で、遺伝子組換え生物が環境に与える影響を防止する法律を制定したときも、同じ遺伝子組換えでも、技術が定着している微生物(酵母や麹等)とこれからの技術分野である植物(農産物)・動物(実験用ラット等)とで、関係者や学者の考え方が全く異なり、一つの法律にまとめ上げるのに苦労したものです。
限られた範囲ではありますがこのような体験を通じて言えることは、環境問題に本気で取り組むには、「ねばり強さ」と「誠実さ」と「科学的考え方」の3つが重要というということです。どんな環境問題でも解決するには長年を要することがほとんどです。先ほどのペットボトルリサイクルの場合でも提案の段階から10数年を経てやっとこのように定着しました。今、議論になっている地球温暖化問題は効果が現れるまで数十年を要すると言われています。取り組む側の「ねばり強さ」これが第一です。第二には「誠実さ」。環境問題は利害関係者が多様なことも一つの特色です。生産者、消費者、住民、学識経験者さらには海外の国々。それぞれ立場が異なる人をまとめていく不思議な力、それは取り組む側の「誠実さ」だと思います。「この人は反対派だから」とか「企業の人だから」といった先入見を廃し、「誠実」に相手の言うことに耳を傾け、そして、異なる立場の人の意見を「誠実」に代弁する。これにより、立場の違う人の意見の溝を1ミリづつでも近づけていく。時間がかかっても他には「魔法の力」はありません。第三に重要なのは「科学的考え方」です。ともすると「環境問題」は「感情問題」になりがちです。意見対立が埋まらない理由は科学的根拠が食い違っていることがほとんどです。残念ながらマスコミが風評を煽る場合もあります。しかし、完全ではありませんが科学的な諸データは世界的に蓄積されてきています。科学的に判る範囲のことはその判断に任せ、そのことをわかりやすく関係者に説明していく、その「力」が環境問題に取り組む人に求められていると思います。
今般、国政の立場から環境問題への取り組みに尽力させていただくこととなり、環境問題取り組みへの思いを新たにしています。皆さん、環境分野を専門にしている方もそうでない方も、ともにできるところから環境問題に取り組んでいきましょう。
元経済産業省生物化学産業課長、現公明党参議院議員 浜田まさよし
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