2004.05.25(火)
北朝鮮拉致問題に思う
― 人間の安全保障の観点から隣国関係築け ―
5月22日、小泉総理がピョンヤンを再訪問し、地村さん及び蓮池さんのお子さん達5人の即時帰国が実現し、曽我さんについては残されたご家族の意思を尊重して帰国を見合わせ、近日中に第三国での家族再会ができることになりました。
小泉再訪朝のマスコミ評価は二分していますが、私は「大きな第一歩」であると評価しています。それは、地村さん、蓮池さん及び曽我さんの心情を慮っての評価です。私も3人の子供を持つ親ですが、その子供が「北朝鮮」という国に残され、かつ、日本の国内世論は、経済制裁・マンギョンボン号の入港禁止等、対決色を強めていったこの1年半。「残された子供たちに危害が及ばないだろうか」と眠れない毎日を送られていたのではないでしょうか。また、曽我さんに関しても、残念ではあったが、今後に大きな期待をもてる結果です。
一方、マスコミの評価が分かれており、その論点は3つあります。
第一に、10人の未解決拉致被害者に対して「進展が無かったではないか」という批判です。家族の方々の期待が大きかったのは十分理解できます。しかし、いままでは「拉致問題はもう終わったこと」という北朝鮮の立場から「白紙に戻して調査する」への立場の変化は決して「マイナス」ではありません。むしろ、政府としては、これからの粘り強い再調査に向けての具体的取組が問われているのだと思います。また、マスコミに必要なのは、帰国家族や未解決家族に対して静かに見守ってあげる等、冷静沈着な対応ではないでしょうか。
第二には、「食糧25万トン、1000万ドルの医療支援」は、5人の帰国引き換えに出すには大きすぎるのではないかという批判です。もとより、これらは人道支援です。隣の国で、大規模な列車事故で負傷に苦しんでいる人たちがいる。地方部での餓死者は勿論、ピョンヤンでも食糧配給が滞りだしているという話もあります。何もしないというのが「世界の中での日本」「アジアの中での日本」のとるべき対応なのでしょうか。国と国との関係はあるにしても、「人間の安全保障」という立場からの人道的対応が必要な時だと思います。またそれは「非常事態の暴発」を防ぐ道でもあると私は考えています。
第三に、「経済制裁を見合す」という約束は譲歩しすぎであり、今後の交渉の手足を縛るものではないかという点です。私は、この約束は北朝鮮側の「ミサイル発射実験を凍結する」という約束と事実上双務的になっているものと理解しています。むしろ、「いつミサイルが飛んでくるかもしれない」という恐怖から国民が解放されたのです。もし、先方が約束を破れば、当方も経済制裁を実施するのですから、「特定船舶入港禁止法案」の成立と合矛盾するものでは全く無いと考えています。
総じて、今回の「小泉訪朝評価の分かれ」は、とりもなおさず、北朝鮮という「隣の国」に、日本がどのように付き合おうと思っているかの「態度の違い」によるものではないかと考えています。「対話」と「圧力」のどちらを表に、この隣国に付き合っていくべきでしょうか。先日の記者会見では「対決」という言葉が家族会から多用されました。家族会や「ポスト小泉」を狙う平沼赳夫氏、政権を追い込みたい民主党にとっては、そういう態度にならざるを得ないのかもしれません。しかし、外交交渉の戦術は別にして、私は、あくまでも粘り強い「対話」により、隣国との友好関係を築くという立場をとりたい。国家はどうあれ、ともに、家族を持ち、喜怒哀楽に暮らす「人間」なのですから。浜田まさよし、日本の外交にも積極的に取り組んでまいります。
お詫び)あまりにもホットな話題のため紙面が2倍となってしまいました。2回分と思ってください。