6月17日 子どもたちへのメッセージ(第二十五回)の収録を終えて

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第二十五回のテーマは「成人年齢の引き下げ」です。成人年齢を18歳まで引き下げることについて議論が交わされていますが、それに伴い様々な問題が浮上してきます。選挙権、少年法、煙草・飲酒についてなど、様々な観点からそれぞれ年齢規定がされています。よって全てについて一律に引き下げるのではなく、それぞれ個別に対応していくことが大切ではないでしょうか。

■成人年齢引き下げの経緯
皆様、こんにちは。参議院議員の浜田まさよしです。成人年齢を18歳に引き下げるというのが昨今話題になっています。この経緯は2007年に「国民投票法」が成立したことに関係しています。これは、「憲法改正は両院の2/3以上で発議し、国民の承認」を得るための手続き法です。その際の承認を得る「国民」の定義をどうするかという議論になり、これを18歳以上としました。憲法改正は将来にわたり大きな影響を持つことから若者も参加してほしいからということです。

その時に同法の附則にある、国民投票法施行までに、「公職選挙法、民法等の法令について検討を加え、成人年齢をどうするか必要な措置を講じること」から議論が始まりました。ところが、法制審議会で議論が始まり、法務省も2009年10月に成年年齢についての答申を提出したのですが、成年年齢を18歳以上に引き下げるのは適当であるが、但し安易に現時点で引き下げると、例えば契約行為に関して、18歳以上は自由に行え、親は解除できないなど消費者被害の拡大など様々な問題が生じる恐れがあるかもしれない、そのような環境をちゃんと整備し、タイミングを国会で判断すべき、とされました。

■各国における状況
1960年時点では、日本の成人年齢20歳は、むしろ先進国の中では低いとされていました。ところがヨーロッパ各国がこれをどんどん引き下げていったのです。当時のイギリス、ドイツ、フランス、イタリアなどの欧州国は成人年齢・選挙権年齢は21歳でした。しかし、その後の引き下げで、現在は共に18歳としています。よって現時点では日本の年齢の規定は高いとされています。

この二つの年齢の規定は必ずしも一致しているという訳ではなく、アメリカでは選挙権は18歳で国一本ですが、成人年齢は州ごとに異なります。18歳と規定している州もあれば、20歳、21歳としている州もあります。このように、選挙権年齢と成人年齢が異なる国は珍しくありません。たとえば韓国(成人:20歳、選挙権:19歳)、ニュージーランド(成人:20歳、選挙権:18歳)、オーストリア(成人:18歳、選挙権:16歳)などです。

■適した年齢の規定を
成人年齢の引き下げに伴い、考えなければいけない問題は様々あります。少年法の問題や、酒・煙草による健康被害について、国民保健及び国民年金の支払いが早まることでの費用の問題など、よって安易に良い考えだとするにはまだ早いと水谷さんは指摘します。

私自身も選挙の年齢と成人年齢、あるいは刑事責任の年齢を必ずしも一致させる必要はないと思います。成人年齢の引き下げについては憲法の改正の議論から始まっていますので、確かに将来の日本を担う方々の意見も反映する必要があり、これについては18歳でいいかもしれません。次に選挙権はどうなのか、成人年齢はどうなるのか。それから刑事責任の問題は、と分けてそれぞれ考えていくといいのかと思います。

成人の関連で言えば、現在婚姻年齢が、男性は18歳以上、女性は16歳以上と定められています。この婚姻年齢が男女で異なる国は、あまり多くありません。例えば、中国が男子22歳、女子が20歳と定めていますが、ほとんど年齢の差はあっても男女においては大体同年齢としています。さすがにこれは法務省の法制審議会も、現在では高等教育が事実上の義務教育化されていることや男女間で社会的・経済的熟度で差をつけることはほとんどないのではないかとしています。従って、年齢を議論する際には、婚姻年齢についても男女で合わせるべきではないかと言われています。

■現状の動きについて
現在では、まず先ほど述べた国民投票法と成人年齢をどうするのかという議論があり、また民法と選挙の年齢を切り離して議論をしようかという動きも出ていますので、そのような中で何らかの法改正の時に合わせて年齢の引き下げを行うことになると思います。

このような年齢が規定された法律を調べると、その数は338あります。例として挙げますと「飲酒禁止法」、「喫煙禁止法」。「競馬法」では未成年者は馬券を買ってはいけないこととなっています。一方、風俗営業等規制法は18歳未満禁止とあり、そういう意味ではこのような年齢規定は、それぞれどのような観点から年齢がおかれているのかしっかりと立て分けをして、十把一絡げにまとめることは良くないと考えます。

「子どもたちのメッセージ」は毎週日曜日17:25~40 ラジオ日本AM1422Hzで放送中です。(→番組ホームページ

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