今週も先週に引き続き、前衆議院議員の上田いさむさんに加わって頂きます。テーマは「子どもたちのアレルギー」です。花粉症や食物アレルギーなど比較的軽い症状のものを含めると子どもたちの4人に1人がアレルギーを発症しているといいます。ただ、教育の現場ではこの病気の実情について十分な啓蒙がなされておらず、時には子どもたちを危険に晒す可能性がでています。国としての政策もいまだ課題がある中、いま求められる対策は何なのか、話し合いました。

■アレルギー問題の実態
皆様、こんにちは。参議院議員の浜田まさよしです。今回も先週に引き続き、私の代わりに前衆議院議員の上田いさむさんにゲストに来て頂いての放送になります。上田さんは子どもたちのアレルギー問題について取り組んできました。

上田さん曰く、地元の皆さんとお話をしていると、本当にアレルギーの方々が多いと実感するようです。軽い症状のものですと、花粉症、アトピーにかかっている方々は多くいますし、さらに色々話を聞くと、食物アレルギーで命にかかわるような症状を持っている方も多いといいます。

■認識のギャップ
ここで水谷さんが興味深い話をしました。

水谷さんが高校の教員として勤めていた時、そばアレルギーの生徒が食堂でうどんを頼んだそうです。ですが、たまたま同じ窯でうどんとそばを作っていたので、うどんの中にそばが数本混じっていて、彼はそれを口にしてしまい、いきなり喉をかきむしって倒れてしまいました。ですが周りは、「まさかそばで」、と驚いてしまい、逆に生徒がふざけているのではないかと思った人までいたようです。その後、救急車を呼び、事無きを得ましたが、もうすぐで気道切開が必要になる状態でした。

そこでこの出来事のあと、校内でそばアレルギーがどういう症状か、水谷さんが説明をすると、年配の先生方が「こんなに症状がひどいものだとは知らなかった」、と驚かれたそうです。年配の方である程、アレルギーなんてかかるのは根性が足らないからだ、と事の重大さがわからない人が多いといいます。自分や家族がアレルギーにかかった場合なら、命に係わるという危機意識があるけれども、そうではない人にとってはその気持ちが分かりません。この認識の差を埋めていくためにももっとこの実態を広めていって理解を深める必要があると水谷さんは強く訴えました。

■アレルギーに苦しむ子どもたち
実際にアレルギーに苦しんでいる子どもの数はどれくらいなのでしょうか。

花粉症など比較的軽い、命に関わらないものを含めると、4人に1人と言われています。しかし対策面では不十分な状態です。例えば花粉症も、校内に空気清浄器があればどれだけ子どもたちの苦痛が軽減されるでしょうか。花粉症にかかっている子はそれだけでも辛くて一日の勉強の大半が頭の中に入らないかもしれない、それこそアレルギーのある子どもたちが快適に勉強できる環境づくりが常に求められています。

実際に多くの子どもたちが苦しんでいるにアトピー(アトピー性皮膚炎)があります。子どもたちの中には大人になってもこのアトピーに苦しんできて、精神的にもダメージを持っている子もいます。治療法の確定を含め、国が研究機関にどんどん依頼し、何とか解決に向かってほしいと水谷さんは話しました。

■国に求められる政策
子どもたちのアレルギーに対して国として今後できることについて上田さんは二つ挙げました。

一つは、アレルギーを治す方法としてその治療法をもっと開発していく、その治療法の研究を進めていくことです。上田さんは国立病院機構相模原病院に免疫アレルギー臨床研究センターを設置し、そこで基礎的な研究と臨床を共に進めていて、実際にかなりの数の症例が改善されている実績もあります。

もう一つは現在存在する様々な治療法の中で、根本的に治すことはなかなか難しいですが、症状を抑えながら徐々に治していくことは出来るので、そういった正しいアレルギーの治療法をもっと医療現場でも普及していくことです。また子どもたちが家庭から離れて初めての生活の基盤になる保育所・学校などでアレルギーに関する知識を持った大人が必要だと思います。もっと先生や関係者の人たちに普及していくガイドラインを制定し、今後とも進めていくそうです。

特に教育現場でのアレルギー対策には、いまだ改善の必要があると上田さんと水谷さんが強く指摘しました。全てのアレルギーの物質を網羅するのは難しいかもしれないですが、やはりいくつかの主なものに関しては入学前の検診や、保育所に入る前にアレルギー検診を国や自治体がもう少し助成する形で皆が受けられるようになればずいぶん対応がスムーズになるのではないか、その実現に向けてこれからも取り組んでいきたいと上田さんは力強く話しました。

水谷さん、上田さん、貴重なお話をありがとうございました。

「子どもたちのメッセージ」は毎週日曜日17：25～40　ラジオ日本AM1422Hzで放送中です。（→番組ホームページ）